家族の泣ける話「指を鳴らす癖」


私は小さいころから指を鳴らすのが癖になっていた。 

いつも母親が「母さんみたいな指になるからやめなさい!」 

と言って自分の手を見せる。 
 
母親の指は関節が太くて、第一関節がまっすぐに伸びない小さな手。 

こんな手になるからダメだというけれど、私は指を鳴らすのをやめなかった。 

だって母さんの手が大好きだったから、 

きれいな手じゃないけれど大好きな母さんの手だったから。 

別に関節が太くなろうがなんだろうが、好きな手だから別に構わなかった。 

けど、なんか怒られてるわけだし、その度ごめんなさいと言って、 

思ってることは黙ってた。 

母は高校の時に死んでしまったけど、 

母さんの手が大好きだから関節太くなっても気にしなかったんだよって 

手紙を書いて棺桶に入れた。 

伝わってるといいな。 

今でも指は鳴らす癖は治ってない。


この記事をツイートする